ある放蕩娘の帰郷(ルカ15章:11~32を生きて) K.I
ある人に一人の娘がいた。娘は父親に、「お父さん、私はずっとあなたのもとにいました。今成長してなんでも自分の力でできるようになったので、あなたの家を離れてもっと広い世界で自由に生きたいのです。」と言った。それで、父親は良い伴侶を与え、財産を分けてやった。何日もたたないうちに娘は遠い国に旅立ち、そこで自分の思い通りの人生を生きようとして、自分と夫や子供達のありのままの姿を見ようとしないまま、時を無駄使いしてしまった。
何年かたってその家庭に息子の自立の時が来たとき、それまで母の良い子であろうとして限界に達した息子が暴走して問題を起こし、バイク事故、女の子、お金と放蕩の限りを尽くして彼女を失意のどん底に突き落とした。それもこれも、夫に厳しい父性が欠如しているからだと彼女は夫を責め、心配と不信で子どもの先々に手出し口出ししてきた自分をも責めさいなんだ。
何もかもに疲れ果てたとき、彼女は我に返って言った。「父が祝福して与えた夫との結婚の秘跡を、私はこれまでどれほど疎かにしてきただろう。自分の力だけでやろうとし、失敗すると人のせいにして、思い通りに人を自分に合わせようとしてきた。息子は私にそれを気づかせようとしているのだ。このままでは私も息子も死んでしまう。でも、どうしたらよいのかわからない。お父さん、あなたの声に従いますから助けてください!」
すると、彼女の心に一筋の父の声が聴こえた。「おまえの手で息子を家から追い出せ。」彼女は応えて言った。「あんなに大きくなった息子を?か弱い私の力ではできません。」父の声は言った。「私の声に従うなら、私が必要な力をおまえに与えると信じないのか?」そこで彼女は息子の荷物をすべて捨て、自分でも信じられないほどの力強い声で「親の価値観と違うことをするなら、出て行け!」と叫んで息子を家から叩き出した。そして彼女はそこを立ち、父親のもとに行った。
ところが、まだ遠く離れていたのに、父親は娘を見つけて憐れに思い、走り寄って首を抱き接吻した。娘は言った。「お父さん、私は天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。もう娘と呼ばれる資格はありません。」しかし、父親は娘を抱きしめて言った。「おまえは私の愛する子、私の心に適う者。」そして、祝宴を始めた。
ところで、息子は家から叩き出されてはじめて、自分がどれほど親に甘え依存してきたかを悟り、頭を丸めて父母に許しを請うために家に帰ってきた。
信仰と生活は遊離しない。